mudanobunagaのブログ

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歩行中のバランス

Gait&Posture 2013:18;134-142から。

Head and trunk stabilization strategies during foward and backward walking in healthy adults

 

要約の要約(できているのか?)

目的:健康な成人がさまざまな条件下(目を開いた状態と閉じた状態、硬い表面と柔らかい表面)で前後に歩行した際に頭と体幹の平衡をどうやって保っているかを調べた。

 

方法:9つのマーカーを配置し、歩行中の頭部〜骨盤の間でセグメントに分け、その運動を記録した。データは、光学TV画像プロセッサ(ELITEシステム)を使用して取得および分析された。各運動について、歩行速度、絶対角度分散、およびロール軸とピッチ軸の周りの6つのセグメントの固定指数(AI)を計算して、頭と体幹の平衡を評価した。歩行条件間の違いを描写するために、分散の3方向反復測定分析も行なった。

 

結果:歩行速度が移動タスク(PB / 0.05)の影響を受け、自然条件(硬い表面を前方に歩く、目を開いた状態)では1.109 / 0.21 msであったが特殊な歩行条件(フォームサポート上を後方に歩く、目を閉じている)では0.799 / 0.15 msとなった。一般に、後方に歩くと、脊椎セグメントの角度分散が減少したが、頭と骨盤の絶対角度分散は、どの要因でも有意に変化しなかった(P / 0.05)。

左右の傾きのAIは、頭部と骨盤がスペースで高い正の値で良好に安定していることを示し、被験者が柔らかい表面を後方に歩いているときにこの空間安定性が向上した。対照的に、脊椎セグメント(胸椎、腰椎)はそれぞれ局所で固まって安定しており、被験者が柔らかい表面を後方に歩いたときにもその傾向が増加した。したがって、移動の難易度を上げると、脊椎セグメントの全体が一体化する固定機能が誘発され、特に柔らかい表面を後方に歩くときに、頭と骨盤の安定化が高まった。

 

(3行でまとめると)条件が良いと頭、背骨、骨盤全部が大きくゆらゆらしながら頭と骨盤の位置があまりぶれないようにバランスをとって、条件が悪くなると頭と骨盤だけゆらゆら、背骨は一体化して頭を揺らし歩行速度が遅くなる。歩行速度を揃えるとどうだったのかな・・・。

日本語が難しいけど多分こんな感じ・・・。

 

細かく見ていくと・・・

歩行条件(想定される状況)

硬い地面と発泡ゴム → 安定した地面(カチカチ)と不安定な地面(ふわふわ)

目を閉じる → 頭の位置の情報・地面の情報がなくなる

後ろ向きに歩く →  路面の状況が予測できない

 

○結果

歩行速度

開眼>閉眼

前向き>後ろ向き

悪条件が重なった順に遅くなった

 開眼で前向き硬い地面>・・・・・>閉眼で後ろ向き発泡ゴム

 

脊椎の(角)振動運動

横方向の振動

 後ろ向きに歩くと振幅減少

 硬い地面後ろ向き(最小)<・・・<閉眼前向き発泡ゴム(最大)

 頭と骨盤の位置関係・・・常にほぼ一定

 体幹(胸〜上位腰椎)・・・歩行方向以外の条件によって変化

   閉眼>開眼、発泡ゴム>硬い地面・・・条件が悪いと振動が増える

 体幹(下位腰椎)・・・前向き>後ろ向き、発泡ゴム>硬い地面

前後方向の振動

 頭部 → 開眼>閉眼

 下位胸椎 → 後ろ向き>前向き、ふわふわ>カチカチ

分節の安定性

 横方向・・・後ろ向きに動くと分節の一体化が進む

  頭と骨盤の位置関係はほぼ一定

  胸椎は後ろ向きに歩くと下の分節と一体化して動く傾向にある

 前後方向

  後ろ向き、発泡ゴムで分節の一体化が進む

 

まとめ

 後ろ向きに歩くと分節の動き、振動共に減少

 発泡ゴム(ふわふわ)で胸椎〜上位腰椎まで分節一体化、振動は増加

 

考察 

許容範囲の不安定さ・・・背骨の分節が比較的自由、胸椎〜腰椎セグメントで+と-の角度をとって平均かされるから頭に受ける振動はそんなに?

すごく不安定・・・背骨の分節運動は減り全体の方向が揃うから角度が相殺されなくて頭の振動運動が増える、微調整?

歩行速度が変わっちゃったからこの辺はしっかり比較できないよね、と。条件が悪くなるとそろりそろりしちゃうけど頭がフラフラ。

ちっちゃい子供や脊椎の病気だと分節の大きな運動は難しいので頭と骨盤の間で傾きが相殺できず頭が大きく動くのでバランスが悪くなる。

(ということは分節運動の方がダイナミックに動ける?)