mudanobunagaのブログ

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TWISTアルゴリズムで脳卒中後の自立歩行が予測できる

Neurorehabilitation and Neural Repair 2017, Vol. 31(10-11) 955–964

 

The TSIWT Algorithm Predicts Time to Walking Independently After Stroke

 

要約の要約

目的:

脳卒中後に一人で歩けるようになるのか?そしていつ頃歩けるのか?を判断するアルゴリズムを作ってみました。

方法:

対象:脳卒中を発症し、下肢脱力が出現して3日以内の患者

方法:1〜2週以内に臨床評価、画像評価、経頭蓋的磁気刺激法が終わっている。全部で41人。評価の結果はCART分析を使用し、発症後6週間、12週間の時点で歩行ができているかどうかを調べた。

結果:

CARTを使ってTWISTアルゴリズムを作成したところ95%の患者の予後が予測できた。

1週間で体幹制御スコア(TCT)が40点以上の患者は6週以内に一人で歩行できるようになった。TCTが40点未満でも股関節進展強度がグレード3以上であれば12週以内に一人で歩行できた。それ以外は一人では歩行できなかった。神経生理学検査や画像検査では予測は不可能で合った。

考察:

うまくできた。N数が少ないのでもう少し大規模な研究でやりたいな。

 

あんまり要約できてないけどそんな感じ。対象患者は18歳以上で血管内治療をした人もOK、死にそうな人はなしね、ということで割と軽めな人を対象としている印象があります。じゃないとTCTとか取れないしね。評価は普通にNIHSSを使ったようです。中央値が8で第一四分位が1-8、第二四分位が8-21(40点が最高に重症)ということは軽症からちょっと重いまでの範囲だったのかな?この辺の重症感は門外漢で良くわかりません。歩行ができたかどうかは歩行に必要な介助度を1-5点(0は歩行不能)で表したFACスコアを使ってされました。1-3点が8名もいたので歩けそうな感じの人も適度に含まれていたということですね。

そしてざざざ〜っとはしょってリハビリは大体同じようにされていたようですが歩けなかった人のリハビリはやや少なめでした。みんな同じ時間数になるように頑張ったけどおそらくできなかったのでしょう。

最終的に有意な結果になった体幹の運動能力と股関節の筋力は最低限の歩行ができるようになるために重要な運動能力であると考えられます。下肢のいろんな筋力を調べていますがそこは単純に最低限なんとか一人で歩行するという観点だとそれほど本質的ではなさそうです(もちろん転倒しにくさとか細かい動きには影響するでしょう)。下肢の筋肉の運動で計測される電気的活動とは無関係で合ったというところは過去の報告と矛盾するので議論の余地があるでしょう。

limitationで様々なことを挙げていますがそこまで本質的な感じはなく、このTWISTは歩行という運動の最低ラインはどこなのか重要な示唆を与えるように思えます。